2017年度新種牡馬、注目の産駒たち

2017年度は新種牡馬の層が厚い。

新馬戦が始まって間もないが、どの馬も好調な滑り出しといえるのではないだろうか。

今回はそんな新種牡馬たちの産駒を、勝手ながら馬体で診断していきたいと思う。

現時点での印象から、注目したい2歳馬を何頭かピックアップしている。

あくまでも個人の感想である。

感覚が似ている方は頷きながら、異なる方は首を捻りながら、どちらの方も楽しみながら読んでいただけたらと思う。

そして、この種牡馬たちが今後の日本競馬界を支えていくことを願う。


■オルフェーヴル

輸入牝馬との配合よりも、日本である程度実績を残している種牡馬の血を持った牝馬との配合の方が安定しているように見えた。具体的にはシンボリクリスエスやブライアンズタイムなどのロベルト系が良さそうに感じる。

また、あえて輸入牝馬系のなかから選ぶと、父ディープインパクトで実績を残している繁殖との産駒は打率が高そうに見えた。ディープで上手くいかずにオルフェーヴルに回されたタイプはあまり良く見えず、三冠馬同士で得意な配合が競合しているような印象もある。

面白そうなところでは母父タマモクロス、母父アフリートの産駒など。パワフルさを兼ね備えた走りになりそうで、彼らの活躍次第では、自身が築き上げた「父ステイゴールド×母父メジロマックイーン」のような有名な配合になるかもしれない。一人のファンとしては、やはりそうした面白い配合が発見されると嬉しい。

馬体を見る限り、ディープインパクトよりはダートに適正のある産駒がいそうで、ある程度の保険はききそう。

ディープ産駒ほどの安定感を求めるのは難しいかもしれないが、個人的には、懸念していたほど「ホームランか三振(そして多くが三振……)」というタイプではなさそう。

本稿では牡馬ばかり取り上げているがウィキッドアイズ(母ウィキッドリーパーフェクト)やアドラータ(母アドアード)をはじめ、牝馬も十分に良い馬がいる。

初年度から芝で大物を出しつつ、ダートでもそれなりの勝ち上がりを見せて、生産者にアピールしてほしい。

●アプルーヴァル(牡)

母ファシネイション

母父シンボリクリスエス

サンデーの3×3というクロスが諸刃の剣という印象もあるが、馬体は一流の雰囲気を持っている。

オルフェーヴルにもシンボリクリスエスにも似ていないが、あえて表現するなら活躍する母父シンボリクリスエスらしい馬体、といったところだろうか。

始動のタイミングも気になるが、クラシックを意識しないわけにはいかない馬。

●ショーンガウアー(牡)

母マルティンスターク

母父シンボリクリスエス

こちらはサンデーのクロスがない母父シンボリクリスエス配合。

丈夫そうな馬体が好印象。距離は中距離も良いだろうが、意外とマイル付近でもよさそう。

父を自然と彷彿させるトモの筋肉が印象的で父のファンからも期待を集めるのでは。

●アランブレラ(牡)

母クルソラ

母父Candy Stripes

父にしては珍しい大型馬。

筋肉のつきどころも良く、瞬発力もありそう。

順調にデビューまでの調整をしていければ良い走りを見せてくれるはず。

●サイン(牡)

母ラティール

母父タマモクロス

シルエットが非常に美しいのが印象的。

母は出産時に20歳。古風な血統をいかして芝の中距離以上で活躍を期待したい。

時間をかけてゆっくりと見守りたい若駒。

■ロードカナロア

母の血が色濃く出た産駒が多い印象。

短距離だけの種牡馬ではないはずだが、短距離を意識した配合が多かったこともあり初年度から数年は短距離での成績を残すことになりそう。ただし、ロードカナロアが種牡馬をしている社台系の牧場やロードカナロアを輩出したケイアイファームあたりは短距離以外の可能性を考慮した配合が多く、ここから自身のポテンシャルを発揮した産駒を多く出せたら未来はさらに明るくなるはず。

先述の通り、母系の血を活かすタイプなので配合次第ではマイル〜中距離でも全く問題なさそう。母父としてはディープインパクトが圧倒的に好印象だった。ロードカナロア自身、ディープと好相性とされるStorm Catの血を持っているので、そうした面も強調材料かもしれない。

牡馬と牝馬で比べると、若干ではあるが、牝馬の方がバランス良い馬が多く見える。

●サラドリーム(牝)

母サイレントソニック

母父ディープインパクト

マイル戦前後での活躍が期待できそう。

ディープの特色もロードカナロアの特色も良く出ている印象で、それが良い方向にいけば。

母も短距離馬で父がロードカナロアではあるが、実際にデビューするとどの距離・どの条件でベストな走りを見せてくれるのだろうか、楽しみな一頭。

●アルモニカ(牝)

母アフリカンピアノ

母父ディープインパクト

こちらも非常に父・母父の血を受け継いでいるように見受けられる。

かなり小柄なのは気になるが、成長力を見せたいところ。

芝の1200〜1400mあたりがベストだろうが、能力次第では距離ももたせられそう。

●マイウェイアムール(牝)

母レイズユアグラス

母父アジュディケーティング

ロードカナロア産駒はダートでも良さそう、という声はロードカナロアの現役時代からも耳にしていた。

実際、配合によってはバリバリのダート専門馬が出ても不思議ではない。

今年の2歳馬だと、この馬がダート短距離で良さそうに見えた。

●ロードイヒラニ(牡)

母レディカーニバル

母父Giant's Causeway

Storm Catの3×3というキツいクロスを持っている。

近年日本で流行しているStorm Catの血をどこまで活かせるか。

すでにパワフルではあるが成長の余地もまだまだありそうで、ゆったりとした過程を歩んでほしいところ。

ダートでも頑張れるだろうが本命は芝だろうか。

■エイシンフラッシュ

1歳セリの時期には、少し成長がゆっくりな産駒が多そうだという印象であったが、ここにきて骨格に見合った筋肉がついた産駒が増えて、整ってきたように思う。逆に仕上がりが早い印象すら受けている。

父似の産駒も一定数以上にいるので、ファンとしてはたまらない馬だろう。

期待が大きいサンデー系の牝馬との配合については、今のところ特に悪いイメージは受けない。

ダートに使われる産駒も多くなりそうな気配があるが、果たしてヴァーミリアンのようなスターを輩出できるだろうか。

個人的には、同じキングマンボ系のエルコンドルパサーのような種牡馬になってもらいたいところだが……。

●馬名未定(牡)

母エイシンキンチェム

母父フジキセキ

肩の筋肉が父を彷彿させる。

早いデビューが必須、という血統でもないので、腰回りの成長をみながらになりそう。

母系もエイシンゆかりの血統で、ファンも期待を寄せる一頭といったところか。マイル路線で活躍してほしい。

●シースプラッシュ(牡)

母シーディザーブス

母父サンデーサイレンス

筋肉のつき方が良い馬。こういう馬が出せるのはエイシンフラッシュの強みではないだろうか。

エイシンフラッシュらしさもあるが、母系の良い影響も受けていそう。

ダートもこなせるようなレース選択の幅が広い馬と予想する。こちらは早期からの活躍にも期待したい。

●馬名未定(牡)

母デビルインマインド

母父ダンスインザダーク

見栄えのする馬体。

芝の中距離で期待したい。血統的にはダートもいけそうではあるが……。

精悍な顔立ちで、実力があれば人気が出そう。

●ニシノエクレール(牝)

母ショウナンアネーロ

母父ダンスインザダーク

芝の短距離で良さそうな馬体。筋肉の質も良く見える。

同じ母父ダンスインザダークでも上記の母デビルインマインドとは違い、スピード先行タイプだろう。マイル戦でも充分にいけそう。

こちらも横顔が非常に美形。

■ノヴェリスト

産駒のフォルムに、非常に強い遺伝力を感じる。

輸入時はキレの不足していそうなイメージを持っていたが、蓋をあけるとかなり俊敏そうな産駒が多かった。近頃の輸入種牡馬のなかでもギャンブル性の強い輸入に思えたが、当たりを引けたのではないだろうか。世界的にも貴重な血を伸ばしていってほしい。

短距離も十分に対応でき、スピードの求められるペースも苦手ではなさそう。

産駒の馬体から見て、サンデー系との配合が非常に良さそうに思える。あとは成長力次第だが、現状はかなりやれそうな印象。

馬体重にはバラつきがあるが、小型馬も大型馬もそれぞれ良さが見受けられるのが面白い。

ただ、母の影響を度外視すれば、本来的には500キロ前後がベストなのではないだろうか。その割には小型馬の割合が多く、それが少し不安な要素と言えなくもない。

●ラカージェ(牡)

母リトルアマポーラ

母父アグネスタキオン

品のある馬体で大物感もある。

パワフルな走りを見せてくれそう。大型馬だが重苦しさはなく、芝で能力を発揮してくれるだろう。

クラシックを意識したい期待馬。

●ルナフィリア(牝)

母ウェディングフジコ

母父フジキセキ

非常に「ノヴェリストらしさ」のある牝馬。

この馬がどれほどの走りを見せてくれるかが、個人的なノヴェリスト成功の指標としたい。

マイル~中距離を得意にするイメージでみている。

●アビーム(牝)

母ジターナ

母父ダンスインザダーク

まとまった馬体が好印象。

スピードと瞬発力を兼ね備えていて、距離はマイル前後が良いだろうか。

こちらもノヴェリストらしさのある馬体で、注目したい。

●ターフェルムジーク(牝)

母アルメーリヒ

母父ネオユニヴァース

小型馬のなかからはこの馬をピックアップしたい。

フォルム的にはノヴェリストというよりは母に流れるネオユニヴァースの血を濃く受け継いでいる印象。

距離は、現状だとマイルまでと想像する。

■ハードスパン

ダート馬らしいムキムキな馬が多いかと思っていたが、かなり軽やかな印象を受けた。良くも悪くもあっさりした身体の馬が少なくないが、個人的にはプラス要素だと思っている。芝の短距離からマイルまで頑張れるのではないだろうか。

逆にダート適正のありそうな馬は、成長が緩やかそうな産駒が多く、活躍まではのんびり待つことになりそう。

一年だけの供用が勿体無い、と思えるだけの活躍をしてくれるだろうか。

●タフチョイス(牡)

母パーフェクトチャンス

母父Unbridled's Song

ハードスパン産駒のなかで、非常に目立つ大物感のある馬。

大型馬なので調整は難しいだろうが、既に古馬のようなオーラがある。

なんとか良い状態でデビューをしてもらいたい。

■ヘニーヒューズ

アジアエクスプレスの活躍もあり、芝・ダート両面での活躍を期待していたが、ダートに強みを持つ産駒が多く出た印象。

一方で距離は個人的に想像していたよりも幅広く対応出来そうで、スプリント戦が得意な馬から2000mを得意とする馬まで出てきそうだ。

2歳の早いうちから仕上がっている産駒が多く、夏あたりから活躍が期待できそう。あとは打率と、大物がでるかどうか。ダート短距離を主戦場とする種牡馬たちが覇権争いをしているなかで、どう存在感を示せるか。

■エスポワールシチー

産駒を見てイメージが変わった馬。

ゴリゴリのダート馬ばかりが並ぶかと思いきや、芝で良さそうな馬も少なからずいた。それでもダートを意識した配合の多さから、成長するにつれてダート適正もあがっていくだろうし、周囲もそれを期待しているかもしれない。

ただ、決して多くはない種付け数ではあったが、非常にポテンシャルを感じさせてくれたと思う。

エスポワールシチー自身は芝で1勝をあげていたが、ダートで開花以降は試すことがなかった。

その可能性を産駒で開花させられるか。

先日亡くなったゴールドアリュールの後継として有力視したくなった。

■ローズキングダム

良血かつ早い時期から活躍をしてきた牝系だけあって、完成度の高い産駒が多い印象。

特に2歳戦では侮れない存在になるのではないだろうか。

馬体に大きな欠点のない産駒が多く、個性派というよりは優等生タイプ。


さて、ここまで個人の感想を並べさせていただいたが、いかがだっただろうか。

こうして2歳戦の始まる時期に新種牡馬を品評し、翌春や数年後に見返してみるのも面白いかと思っている。

きっと的外れな記述も多かっただろうが、来年にでも振り返りの記事を書かせていただけたらと思う。