金沢競馬 2歳展望

今年は金沢で将来性の高い2歳馬が多く見られる。そのうち特に注目すべき馬たちを紹介したい。

ヴィーナスアロー(牝・金田一)

父パイロ

母スパートル

母父ゼンノロブロイ

デビュー前より、厩舎の期待馬と聞いていた。実際に能力検査前には軽く追っただけで4F51秒台の時計を出していたが、小柄な牝馬なのもあり、単純に仕上り早のタイプだとしか思っていなかった。しかしデビュー戦の内容が衝撃的だった。好スタートからハナを奪うと、馬なりのままグングン加速。4コーナーまで他馬が来るのを待ってから追い出すと引き離す一方だった。直線だけで7馬身。上がり3Fは36秒4だが、ほぼ馬なりでケタ違いの内容だった。

続くレースは出走取り消し。改めて挑んだ2戦目。初距離の1400mだったが、初戦同様に相手が直線で相手が馬体を併せてきてから仕掛け、引き離す内容で完勝。

3戦目の準重賞くろゆり賞では3番手からの競馬となり、直線で初めてムチが入るシーンも。それでも、相手を交わし切ると押さえる余裕を見せて3連勝。

8月21日のJRA認定競走もスローで逃げながら、折り合いも付き、軽く仕掛けただけの内容でデビューから4連勝。まだまだ本気の走りを見せていない。

ゴールドハリアー(牝・黒木豊)

父ネオユニヴァース

母クリサンテーム

母父エルコンドルパサー

こちらも、デビュー前からの厩舎が期待してきた馬。兄には、園田で10連勝してA級に昇りつめたヒャクマンバリキや、中央OPのエーティボスなど。牝馬とは思えない、納得の好馬体だ。デビュー戦こそ不向きな900mで②着に終わるも、続く2戦目の1400mでキッチリと勝利。3戦目は早目先頭に立つ競馬で、ヴィーナスアローに初めてムチを使わせた。4戦目の認定競走はスローな流れに折り合いを欠き③着も、続くJRA認定サファイア賞ではスタートで出負けしたものの、残り600m辺りから馬群をこじ開けスパート。一気に後続を引き離し快勝。470㌔台と馬格もあり、成長力も見込める血統。これから、どうなっていくのか楽しみだ。

ベアームート(牝・佐藤茂)

父ロードアルティマ

母ヒカルセイザ

母父デュランダル

上記2頭とは1度ずつ対戦。デビュー戦はゴールドハリアーと。直線で一旦抜かれそうになったが、馬体を併せるとも一伸びして勝利。勝ち時計も57秒0と優秀だった。2戦目はヴィーナスアローと。こちらは逆で直線で外から併せに行ったが突き離される内容だった。3戦目は準重賞に出走資格がなく、平場でのレース。こちらはキャリアの違いで逃げて引き離す内容で勝利。母系からは種牡馬のキンググローリアスが輩出されており、父ロードアルティマも名種牡馬Gone Westの弟。なかなか奥が深そうな血統であり、今後の成長が楽しみだ。

そして8月デビューながら、今後が楽しみな存在が。

サッキーヘラクレス(牡・加藤義)

父ロージズインメイ

母ハートフルビコー

母父ゼンノメイジン

栗毛の派手な姿もそうだが、一際目立つのが馬体の良さ。走ると確信はしていたが、900mは距離不足か。勝つには勝ったものの、タイムは58秒9と個人的には納得がいかなかった。しかし、2戦目の認定競走ではヴィーナスアローを捕える事はできなかったものの、内から伸びてきて②着を確保。辛抱強い一面は垣間見たし、これから経験を積んでいけば、更に強くなっていけそう雰囲気を感じる。

(8月27日放牧へ)

最後に

できれば、この2頭のデビューを見てから投稿をしたかったというのが本音。

フジサンショート(牡・金田一)

父ナカヤマフェスタ

母サバクノバラ

母父フレンチデピュティ

6月に受けた能力検査では、それまで強いところを乗っていなかったにもかかわらず900m58秒2の好時計。しかも、4コーナーでムチを入れると驚いて、外ラチ沿いまで飛んで行ってしまった。態勢を立て直し、再度ムチを入れると、これも驚いて外まで……。しかし、そんな内容ながら差し切ってしまうのだから、この馬の能力は相当なものだろう(この時は不合格)。

その後の能力検査はあっさりとパスしたが、ソエの影響もあって9月中のデビューを目指して、現在乗り込まれている。

そして、もうこれ以上の2歳はいないだろうと思っていた8月の終わり。

20日の能力検査でトンデモない1頭が登場。

ヤマミダンス(牝・中川雅)

父ハーツクライ

母キウィダンス

母父ティンバーカントリー

母の名前でピンときた人もいるだろう。名古屋オープンで36戦12勝。東海・北陸・近畿地方の交流重賞を含めると重賞9勝の女傑だ。牧場で乗り込まれたとはいえ、いきなりの能力検査で900mを56秒9。しかも、ほぼ馬なりでこの時計を叩き出すのだから、そのスピード値は相当なものだ。もう2歳戦では900mの実施はないが、距離が伸びても不安のない血統。預託先が中川先生であるのも、今後の遠征プランがありそうで、楽しみが広がる。

今回紹介した6頭の飛躍を、期待したい。

文と写真・中村優馬